水内層

50 ~ 50

t4凝灰(ぎょうかい)岩層より上位の陸成層を、赤羽(1980)は水内層と呼んだ。この地層は鳥居川沿いの豊野町大倉付近に模式的に分布し、斎藤(1955)が川谷砂岩礫(れき)岩層と呼んだ地層の下部と中部に相当する。長野市では、浅川の上流部の北郷地区の向斜(こうしゃ)軸部に広く分布し、髻(もとどり)山の南麓(ろく)(写2-42)・坂中・入山大沢上流域などにも分布する。水内層は西部では猿丸層に整合に重なり、東部では新第三系を不整合におおう。上限は不明である。層厚は100m以上。


写真2-42 風化が進み半グサレ状態の砂礫層(髻山南麓)

 t4凝灰岩層は溶結(ようけつ)凝灰岩の部分をもつ火砕流(かさいりゅう)堆積物である。水内層の主な岩相は、砂岩・礫岩・泥流堆積物である。礫岩は径10~20cm以下の安山岩や閃緑(せんりょく)岩と径の小さいチャート・粘板岩・砂岩・花崗(かこう)岩などの古期岩類からなる、全体に粗粒の堆積物である。これらの礫はかなり風化が進み、ハンマーで簡単に壊される程度のくさり礫層となっている部分が認められる。また、この地層には大峰高原に分布する大峰溶結凝灰岩の礫や、志賀高原周辺に分布する高井火山岩類の礫を含んでいる。