灰原層

50 ~ 51

信更(しんこう)町周辺域には風化した礫(れき)からなる砂礫層が分布し、砂礫層は砂層やシルト層を挟むとともに酸性凝灰(ぎょうかい)岩層や溶結凝灰岩層をもはさんでいる(写真2-43)。これらの地層を、Saito(1961)は灰原層と呼んだ。この地層は、信更町の高野から灰原・原市場・犬石にかけての標高700~800mの比較的平坦(へいたん)な山地を構成している。層厚は150~200mで、下位の篠(しの)山火山岩・聖(ひじり)山安山岩・久米路(くめじ)火砕岩類・大久保砂岩泥岩層などの第三系を不整合におおっている。


写真2-43 シルトと半グサレ状態の砂礫層
(有旅(うたび))

 岩相は強風化して割れ目の発達する陸成のくさり礫層で特徴づけられる。岩相によって下部・中部・上部に分けることができる。下部層は高野の北から原市場にかけての地域や川中島ゴルフ場周辺に分布する。岩相は強く風化した不淘汰(とうた)の安山岩くさり礫層である。このくさり礫は径5~20cmの円礫~亜円礫で、スコップで削ることができる。くさり礫層は、シルト層や砂層・凝灰岩層をはさんでいる。中部層は田野口の北西地域を中心に分布し、不淘汰(とうた)の安山岩礫層・砂層・シルト層などからなる。上部層は灰原から高野にかけて分布し、砂層やシルト層と細礫層からなり、酸性凝灰岩層や溶結凝灰岩層をはさんでいる。細礫層の礫には、チャートや粘板岩などの古期岩類の礫を多く含んでいる。溶結凝灰岩層は。層厚10~20mで黒雲母(うんも)・輝石(きせき)を含むガラス質凝灰岩層である。

 灰原層の年代は、第三系との関係や、はさまれる溶結凝灰岩層が猿丸層最上部の溶結凝灰岩層に類似することなどからみて、第四紀前期はじめごろの地層と推定される。