飯縄火山の南麓(ろく)から南東麓にかけては、大小のたくさんの凹地や谷が発達し、そこには湿原や湖沼が分布する。このような場所には泥炭層を主とする湿地堆積物がみられる。高原の南麓には、五味池の北側、下一ノ倉池の南、大谷地(おおやち)、麓原、論電ヶ谷池の北などに、南東麓では大池の北、上蓑(みの)ヶ谷池の西、下蓑ヶ谷池の北や東、逆谷地(さかやち)(写真2-50)などに大小の湿地堆積物が分布する。
これらの堆積物の多くは現在も形成されつつある湿原堆積物であるが、それらがどのくらいの厚さをもち、いつごろから堆積しはじめたのかについてはよくわかっていない。これらの湿地堆積物についての研究は、長野市飯綱高原自然復元基本調査委員会(1993)によっておこなわれた逆谷地湿原と大谷地についての研究だけである(赤羽・酒井・吉田,1991;赤羽・酒井,1993)。