4 地質構造

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 西部山地の新第三系の地質構造は、地質図に見られるように北部の浅川や裾花(すそばな)川流域と南部の犀(さい)川流域とで大きく異なっている。裾花川以北の地域では、全体として北西に傾く単斜構造を示し、浅川沿いでは全体に50~65度と急傾斜である。ただし、上流部の北郷付近の猿丸(さるまる)層には、向斜(こうしゃ)構造が発達する。裾花川沿いでは、盆地寄りで50~60度と急傾斜であるが飯縄火山に近づくにつれて20~30度と緩くなる。この地域における断層には、門沢(かどさわ)断層と上ヶ屋(あげや)断層が見られる。門沢断層は、飯綱高原の丸池付近から門沢を通り西長野に延びる左ずれ成分をもつ第四紀の断層である。上ヶ屋断層は、京田から洞にかけて延びる右ずれ成分をもつ第四紀の断層であり、黒岩玄武岩の岩体を二分している。

 裾花川以南の新第三系地域には褶曲(しゅうきょく)構造が、盆地寄りには断層がいくつも発達し、地層の傾斜は場所によって大きく異なる。褶曲構造は七二会(なにあい)地域に小田切背斜(おたぎりはいしゃ)と七二会向斜、信更(しんこう)町には神田(じんだ)背斜・久米路(くめじ)向斜・虚空蔵(こくぞう)山背斜が発達する。小田切背斜軸は、川後から市場・芦原と東北東-西南西方向に延びる。七二会向斜軸は小田切背斜の南側に並行して、塩生(しょうぶ)・赤坂・大安寺を通る。神田背斜は、茶臼(ちゃうす)山から氷熊・神田・久米路橋と延びる。久米路向斜軸は、神田背斜の南側を犀川沿いに並行する。虚空蔵山背斜軸は、久米路向斜の南を並行する。

 裾花川以南の盆地西縁部に発達する断層には、裾花凝灰(ぎょうかい)岩層を切る小市(こいち)断層・滝沢断層・栃久保断層・中尾山断層、南部の鮮新統(せんしんとう)を切る赤田断層・聖(ひじり)川断層などがある。これらはいずれも、長野盆地の西縁部の形成にかかわる運動によって形成された第四紀の断層である。