(4) 柴溶結凝灰岩

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 飯島・斎藤(1968)の柴石火山岩に当たる。模式地は松代町の金井山石切場で、金井山から大室、大室駅の南西500mのトンネル、および奇妙(きみょう)山山頂部の標高1,000m付近などに分布する。奇妙山の三角点は安山岩溶岩(東条火山岩)からなり、この溶結凝灰岩は三角点をとりまいてその周辺に厚く分布している。層厚は100m。径20~30cm大の本質レンズに富む中溶結の溶結凝灰岩で、岩質は紫蘇輝石普通輝石デイサイト(SiO265~66%;牧,1995)(表2-9)である。


写真2-58 柴溶結凝灰岩(松代・柴)


表2-9 柴溶結凝灰岩の化学組成

 森本ほか(1966)は、鳥打峠で本層と別所層が鳥打峠断層で接するとしているが、この溶結凝灰岩は、断層の東側へも連続分布していて、断層は存在しない。

 なお、この溶結凝灰岩と同質の溶結凝灰岩は、須坂市蓑堂(みのどう)トンネル付近にもみられる。

 噴出源については、未確定であるが、群馬県六合(くに)村から草津付近に広く分布する太子(おおし)火砕流(早川,1983;カリウム-アルゴン年代,0.59±0.07Ma;宇都,1983)と同一物である可能性が高い(牧,1995)ので、今後の研究に期待したい。