松代奇妙(まつしろきみょう)山の南西山麓に位置する滝本の東豊林道沿いに、礫(れき)岩・砂岩・泥岩からなる地層が分布し、これを森本ほか(1966)は滝本層と呼んだ。この堆積(たいせき)岩層は、全体に灰褐色で半固結で、下位の保基谷(ほきや)岳火山岩類を不整合におおっている。層厚は5m以上。走向は一定しないがほぼ東西、傾斜は南へ50~90度である。下位の泥岩は層理が見られ、上位にやや固結した砂岩層や砂礫層が重なる。砂岩層には巨礫がはさまれる。この泥岩には、ブナやナラなどの多くの葉片化石が含まれ、やや温暖な気候を指示している。滝本層の年代はよくわかっていないが、森本ほか(1966)は奇妙山の侵食が進んだ第四紀初期に、局部的に生じた沼や湖に堆積した地層と考えた。