氾濫原堆積物

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洪水時に氾濫する地域に堆積した堆積物を、氾濫原(はんらんげん)堆積物と呼ぶ。これらの堆積物は、河道を運ばれる堆積物に比較して細粒な堆積物から構成されている。なかでもこれらの堆積物は、河道沿いに形成される自然堤防をつくる自然堤防堆積物と、その背後にあふれだし堆積するものとに区分される。自然堤防の背後に堆積する堆積物は、氾濫堆積物・オーバーバンク堆積物・後背湿地堆積物などと呼ばれている。地質図ではこれらを、自然堤防堆積物・氾濫原堆積物・後背湿地堆積物に区分した。

 自然堤防堆積物は、比較的粗粒な砂や礫で構成されている。千曲(ちくま)川沿いでは、上流から塩崎・横田・岩野・清野・西寺尾・杵淵(きねぶち)・真島・牧島・川田・牛島・綿内・屋島・福島(ふくじま)・村山・長沼と断続的に発達する。犀川沿いでは、四ツ屋・青木島・川合(かわい)・川合新田・大豆島(まめじま)に分布する。

 氾濫原堆積物は、自然堤防と後背湿地との中間的な位置に堆積した堆積物で、砂や細礫を中心にしたものである。洪水時には後背湿地に比べて比較的早く水が引く地域の堆積物である。この種の堆積物は、盆地周辺の中小の河川沿いにもみられる。

 後背湿地堆積物は、洪水のあとも湿地となっている場所に堆積したもので、粘土層・シルト層や泥炭層からなる。千曲川沿いには、塩崎-石川・清野・松代温泉・牧島・川田・綿内などに分布する。