西縁部の地質構造

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長野盆地の西縁(せいえん)部にはたくさんの活断層が分布する(仁科ほか,1985)。これらは盆地の器を形成した断層運動によってできた断層であり、第四紀中期以降に活動し現在も活動している断層である。扇状地の地下にも活断層が走っているが、新期の扇状地堆積物におおわれているため、断層の確認はむずかしい。

 これらの活断層は、盆地西縁部に集中して分布し、西縁部と並行する方向に延びている。これらの断層の多くは、西上がり東落ちの高角の逆断層である。西縁方向に斜交する断層は、水平ずり成分の大きい断層である。西縁部には第四紀層からなる丘陵が発達するが、この丘陵の両縁を活断層が走っている。このため、盆地の西縁部には特徴的な断層地形が形成されている。西縁部には急な直線的な崖(がけ)が連続し、西縁部に沿って発達する丘陵は階段状の地形を形成している。

 活断層が動くことによって地震が発生することが明らかになり、長野盆地西縁の活断層も注目されている。活断層は活動の度合いを活動度と呼び、活動度A・B・C級に区分されている(活断層研究会,1980)。A級は1,000年に1m以上動く断層、B級は1,000年に10~100cm未満、C級は1,000年に10cm未満変位する断層である。盆地西縁の長野市には、A級の断層として三才(さんさい)断層・田子(たこ)断層・城山(じょうやま)断層・善光寺断層・安茂里(あもり)断層があげられている(活断層研究会,1980)。

 西縁部に分布する活断層の形成時期は、山地寄りのものほど古い傾向が認められ、それらの変位量も山地寄りほど大きい。盆地形成以後における西縁部の総変位量(垂直変位量)は、1,500m以上に達する。


写真2-63 断層に沿って谷が形成されている旭山南麓の大黒山断層


図2-18 長野盆地西縁部の活断層