亜炭(あたん)は行政上名づけられた名前で、石炭化度のもっとも低い石炭である。
旭山東崖の裾花川に面して、裾花凝灰岩層に不整合に重なる豊野層中に厚さ数10cmの亜炭層がはさまれ、かつて採掘された。この亜炭層からはバタクルミ(Juglus sieboldiana)の化石が産出する。また、北郷(きたごう)付近には、猿丸(さるまる)層上部層中に厚さ数十cmの亜炭層が数枚あり、戦時中にさかんに採掘されたが、現在は休業している。
植物体が空気の乏しい水中や泥中に埋没して、微生物の作用を受けると、分解して腐敗酸などが生じるが、一部は植物組織をそのまま残す。このような不完全に分解されたものがしだいに堆積し、空気から完全に遮断(しゃだん)されると泥炭ができる。深田町では、厚さ2mの泥炭を産し、かつて肥料として採炭されたことがある。