2 土石流

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 土石流は、土石と水が混合して一体となって流動する現象である。一般的な流動形態としては、先頭に岩塊、流木の集中する盛り上がりをもち、そのあとにしだいに粒径の小さい礫、砂、泥を多量に含んだ水流がつづくのがふつうである。流動性があるため、非常に速く(毎秒数mから数十m)、より遠くまで流下することができ、災害の範囲を拡大する。また、土石流は突発的に発生し、かつ強力な破壊力をもっているため、大きな被害をもたらすことが多い。

 一般的には、渓流の勾配が約15度以上の急勾配の区域をもち、渓流のなかに多量の堆積土砂があり、かつ上流に広い集水面積をもつ区域があると、土石流発生の危険度が高い。なお、土石流は渓床(けいしょう)勾配が約8度以下では堆積を開始する可能性があり、これより勾配が1/30程度の地点まで氾濫(はんらん)堆積する例が多い。


図2-23 渓流模式断面図

 土石流危険渓流とは、土石流発生の危険があり、人家5戸以上(5戸未満でも官公署、学校、病院、駅などのある場合を含む)に被害がおよぶおそれのある渓流をいう。1992年4月現在、市内の土石流危険渓流は5万分の1「長野市土石流危険渓流位置図」(長野市)に示されている。

 土石流対策としては、土石流を停止あるいは減速させるための砂防ダム工、後続流を安全に下流へ流すための流路工などのハード面の対策のほか、ソフト面の対策として警戒避難体制の整備や危険渓流の周知などが実施されている。