長野市では過去に、善光寺地震(1847年)、長沼地震(1941年)、松代群発地震(1965年~)など深刻な被害地震が市内地域で発生している。市外地域に発生した地震でも安政東海地震(1854年)、関東大地震(1923年)、新潟地震(1964年)などでは長野市に被害がおよんでいる。
長野地方気象台(長野市箱清水)における1916年から1995年までの年別有感地震回数(図2-25)をみると、80年間のうち、有感地震が年間12回以下(月平均1回以下)の年は62回(78%)あり、関東や東北地方の太平洋側の地域より、通常時の有感地震は少ない。しかし、歴史的には、長野市は全国的にみて、被害地震がかなり多いといえる。これは長野市域または周辺で大地震や群発地震が発生したためである。地震による被害は一般に震度5以上で発生するが、気象台で震度4であっても、地盤等の条件により、その近くの場所で震度5になることがよくある。また、地震は大地震の余震や群発地震として、ある期間に集中して発生することがある。震度5以上の地震が発生し、年間の有感地震回数が50回以上の年は地震活動が活発な年といえるが、図2-25によると、それは20年程度の周期で繰りかえされている。近年は20年以上静穏な状態がつづいているといえる。
1992年から1994年までの3年間に長野市付近で発生した地震の震源分布と活断層の分布を図2-26に示す。この図の地域では人が感じない微小地震が多数発生しており、気象庁地震観測所(現精密地震観測室)が震源を決めた地震数は3年間で2,156個である。いっぽう同じ3年間の有感地震回数は長野地方気象台で10回、松代(地震観測所)で9回であり、有感地震の発生はきわめて少ないといえる。図2-26をみると県北部では活断層の位置に地震の分布が重なる。しかし、長野市内地域では活断層の位置に地震はなく、微小地震の分布する地域に活断層は知られていない。このような活発な微小地震活動と活断層との関係や、この地域の地震の特性など今後解明していくべき問題は多い。