新第三紀中新世前期には、グリーンタフ変動と呼ばれる激しい地殻変動が日本列島および環太平洋地域で始まった。この変動はそれまで陸域であったところが地殻変動によって陥没(かんぼつ)や沈降(ちんこう)し、激しい海底火山活動が開始された。この火山活動の噴出物がグリーンタフと呼ばれる緑色凝灰(ぎょうかい)岩類である。松代(まつしろ)南部から若穂(わかほ)にかけて分布する内村層(1,600万年前)は、これらに相当する海底火山噴出物である。長野市におけるもっとも古い時代のようすを物語るのはこの地層である。
松代地域では、ときどき休止期に泥岩層をはさみながら安山岩質の溶岩や凝灰角礫(れき)岩からなる激しい火山活動がおこなわれた。同じころ北東に隣接する若穂地域では、保科玄武(ほしなげんぶ)岩類と呼ばれる玄武岩の噴出が広い範囲でおこなわれた。
美ヶ原から菅平(すがだいら)・志賀高原とつながる地域では、この種の火山活動が激しくおこなわれたが、長野盆地の西部地域も同様な火山活動をしていたかどうかについては、確たる証拠がない。