長野盆地の誕生

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中期更新世初め(70~50万年前)になると、それまで静穏であったこの地域も地殻変動が活発化し、長野盆地の西縁(せいえん)の断層が活動を始めた。盆地西縁では、西側地域が隆起し東側が沈降しはじめた。長野盆地から東部山地にかけての地域は、西側が下がり東側が隆起する傾動運動が始まった。これが現在の長野盆地の誕生である。この沈降部は、豊野町付近を中心に始まり、しだいに南側へ沈降域が拡大され、大きな湖が形成された。この湖が古豊野湖であり、ここに堆積した地層が豊野層である。

 このような地殻運動は、この地域だけのものでなく日本列島全体で開始された構造運動であり、島弧(とうこ)変動と呼ばれている。長野盆地の誕生と同様に、松本盆地や飯山盆地も誕生した。犀(さい)川や裾花川は、盆地西側の山地が隆起するにつれて谷を深くしていった。この長野盆地の誕生によって、北アルプスから流れてきた犀川は盆地に流れこみ、飯山盆地を経て新潟方面へ流れるようになった。