扇状地による埋積

95 ~ 95

後期更新世になると、盆地周辺域の山地で砕屑(さいせつ)物が大量に生産され、それらが河川によって運ばれ盆地を埋積し、扇状地を形成した。最終氷期には、気温が下がり森林限界が低下し裸岩地域が広域になったことや、地殻変動による隆起がいちじるしくなり侵食が進んだことなどが重なり、粗粒の砕屑物が盆地に供給された。盆地東縁(とうえん)部の扇状地は、東部山地における西下がり東隆起の傾動運動によって、新期のものほど盆地寄りに形成された。また、西縁部の扇状地は、扇状地堆積物が多いのにもかかわらず扇状地面の傾きが緩やかである。これは盆地西縁部の沈降量が大きいことを示している。

 完新世になると、降水量は増加したが周辺山地は植生(しょくせい)におおわれ砕屑物の供給は少なくなり、最終氷期に比べて細粒の堆積物が増加した。このような傾向は、千曲川の後背湿地の堆積物に顕著にあらわれている。ここでは最終氷期に砂礫層が多いのに対して、完新世にはシルトや泥炭の堆積が多い。