土壌の層位

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山道の切り通しなどに見られるように、自然状態の土壌は平面的な存在ではなく、立体的に構成されている。

 すなわち、土壌の下部には硬い基岩や盤層や砂礫(されき)層があり、その上部は褐色の土層へ移行している。その土層中には風化が進んだ岩石や礫が含まれ、木の根も貫入している。

 いっぽう、地表近くには黒味の強い土層があり、地表面はまだ原形をとどめている植物の枯葉や小枝で被覆されている。これを粗大有機物と呼んでいるが、その直下には分解が進み、ボロボロになった粗腐植層が層状に介在している。このように、土壌断面に見られるおのおのの土層には、図3-2のような名前がつけられており、その特徴はつぎのようにいわれている。


図3-2 森林土壌の層位区分と命名
(企画編集ペドロジスト懇談会(1977)「日本の土壌」)

 A0層 有機物が堆積(たいせき)している層をいう。L層はいまだ分解が進んでいない落葉層で、F層とはなかば分解が進んでいるが、まだ原形がわかる層である。H層は分解がかなり進み、原形をとどめていない。以上述べたこれらの層は森林土壌では一般に認められるが、農耕地土壌では年々耕耘(こううん)されるので形成されない。

 A層 表層または表土と呼ばれている。主に植物の影響を強く受けて腐植(土壌有機物)を多く含み、B層よりも黒色味が強い。そして、雨水などが土層を浸透するさいに、この層からいろいろな成分を溶かして下方に運ぶことから、溶脱層とも呼ばれている。

 農耕地土壌では、周年耕作の繰りかえされる範囲をAP層(作土)と呼んでいる。

 B層 下層土とも呼ばれている。A層から溶脱された成分が下降して集積することが多いので、集積層ともいう。風化が十分進んでいるために土色は褐色や黄褐色をしている。

 C層 土壌母材に相当する層で、岩石や基盤の風化物からできている。基層とも呼ばれており、腐植はほとんど含まれていない。

 D層 C層のさらに下にある層で、まだ風化していない岩石や基盤のことをいう。

 G層 地下水の影響を強くうけ、土色は二価鉄の作用で青灰または緑灰色をしている。


写真3-7 凝灰岩から褐色森林土の生成(大峰山)