(1) BA型土壌 乾性褐色森林土(細粒状構造型)

106 ~ 106

 A0層は全体としてあまり厚くない。F層またはFH層が発達し、H層はあまり発達しない。暗褐色のA層は一般に薄く、B層との境界ははっきりしている。A層およびB層のかなり深くまで細粒状構造が発達する。表層にはキノコの菌糸(外生菌根)が多く、しばしば密集して菌糸網層ができる。

 山地の尾根付近、とくに南西面に出現することが多い。温暖多湿な気候下に、こうした乾性土壌が分布するのは、地形的に雨が降っても流れ去りやすい尾根すじは、土壌中への水分の供給が少なく、ある時期に乾燥が強く働いて有機物の分解を妨げる結果、堆積腐植の発達や、菌糸網層の形成をうながし、これがまた水分の土壌中への浸透をはばんでいる。

 この土壌の菌糸網層は、たいていの場合マツタケの菌糸からできており、マツタケの産地となっているところが多い。

 土壌生産力の低いやせ地で、森林を仕立てる場合は、人工造林はむずかしく、アカマツを主とする天然更新が適している。

 長野市では保科山国有林のアカマツ林に代表的なものが見られる。林床にはミツバツツジ、ヤマツツジ、アクシバ、リョウブなどが優占することが多い。