A層が真黒な土壌である。ときにはB層と思われる部分まで異常に黒く、黒色の有機物に富む土層が1m以上におよぶこともある。表層の10~20cmは、やや軽鬆(けいしょう)で黒味が少なく、20~40cm前後の層がその上部よりかえって黒味が強く、堅くはないが緻密(ちみつ)である場合が多い。一般に粒径がそろっていて、微砂ないし粘りの少ない粘土が主で、軽鬆であり、粘着性に乏しく、その性状からクロボクと呼ばれる。
この土壌の含む大量の腐植については、供給源は草本類であった可能性が大きく、草原であることが重要といわれる。また大量の腐植が保持されているのは、火山灰の特性によるもので、火山灰を母材としたものが大部分であるが、なかには非火山灰母材のものもある。また水中に有機物が集積し、のちに陸化してできたと考えられる黒色土も認められている。しかし未解明の点も残されている。一般に黒色土は腐植含量が多く、炭素量として示すと15~20%台が普通である。
黒色土は、断面の特徴から、褐色森林土に準じてBlC型・BlD(d)型・BlD-E型およびBlD-E(m)型土壌などに区分される。BlD-E型というのは、褐色森林土の場合のBD型とBE型の両者にまたがるもので、適潤性から弱湿性の黒色土を一括して示すものである。黒色土では、褐色森林土と違って両者を区分することがむずかしいためである。
長野市では、黒色土は主として飯縄火山一帯に集中的に分布するが、東部山地では菅平高原とその周辺の山頂付近を中心として分布し、山麓の一部にも小面積ずつ散在して分布する。また西部山地にも各所に小面積の分布が見られる。
つぎに長野市に分布する黒色土の各土壌型について、代表的な土壌断面を示す。