作物栽培からみた土壌肥沃度

145 ~ 146

農耕地土壌の利用は、水田作と畑作に大別される。そして、土壌の種類や土壌の立地条件は、栽培作物の適否や生育・収量に対して非常に強い影響をあたえている。

 古くから、この農耕地を評価する基準として各種土地等級が設けられ、税金や土地の売買、借地の取引条件に利用されている。

 現在、農耕地土壌の利用適正を科学的に評価する方法に「土地分級」がある。この方法は1959年(昭和34)から全国的に実施された土壌調査によって得られた理化学的性質を整理して、4等級に区分したものである。

 Ⅰ等級というのは、普通の耕作をつづけるうえで生産上問題のない良好な農地である。Ⅱ等級は土壌的にみて若干問題があり、土壌悪化の危険性が多少ある。Ⅲ等級は土壌的にみてきわめて大きな障害があり、土壌悪化の危険性がかなり大きい農地である。Ⅳ等級は土壌的にみてきわめて大きな障害があり、土壌悪化の危険性がきわめて大きく、農地として利用するにはきわめて困難な条件のあるものをいう。

 この基準をもとに、市域の農耕地土壌の生産力可能性を等級別に面積計算した結果を表3-14に示した。これによると、水田の多くはⅡ等級に入り農業生産上問題が少ない。しかし全面積の約40%は表土が浅く、また、湿性が強く耕耘(こううん)に支障があることが明らかになった。


表3-14 農耕地土壌の生産力可能性等級別面積

 いっぽう、畑地の一部は礫(れき)が多くⅣ等級が72haあり、畑面積の約1.2%を占めていた。

 しかし、これらの数値は昭和30~40年代にかけて調査した結果をまとめ作成したもので、その後実施をみた土壌改良や圃場(ほじょう)整備事業で改善が進み、現在はもっとよくなっている。