長野盆地の沖積地帯に広く分布しているこの土壌は、モンモリロナイトを主要粘土鉱物とし、理化学的性質にすぐれており、土壌肥沃度が高いことで全国的に知られている。
そのような理由から、わが国の水田土壌の代表の一つとして、多くの大学や専門家たちによっていろいろの角度から研究が進められてきた。
その成果は日本土壌肥料学会誌をはじめ、各種の研究報告書に発表されている。
この土壌の採土場所であった長野県農業試験場は、日本農業の衰退のなかで80年間にわたる技術開発の実績を残し、1975年(昭和50)に須坂市に移転した。現在その跡は、長野県県民文化会館や長野県立図書館などの施設と公園に利用されている。
かつて大学や研究機関の研究者で構成された土壌総合研究会がこの地を訪れた。そして土壌生成・分類と理化学性に関する貴重な資料を残している。ここにその化学的性質の一部を表3-16に記載した。この分析値からも、自然肥沃度がきわめて高いことが裏づけられた。