この地域の畑地は79%が傾斜7度以上で、そのうち20度以上は約30%におよんでいる。
この傾斜畑での最大の問題は土壌侵食であるが、長野県農業試験場が七二会で細粒質山地褐色森林土を対象に実施した、土壌侵食の試験成績(図3-19・20)がある。
それによると、傾斜が増すほど土壌流亡量が増加している。すなわち、傾斜9度で10a当たり75kgであるが、33度の急斜面では3,656kgと急激に増加している。また、10分間に約1mmの降雨強度で面状侵食が始まり、6mmを超えると急激に進行している。
この試験は6月から10月にかけておこなわれたが、この間の総降水量は367mmであった。
また、同一斜面の上中下でソバと小麦を対象にした栽培試験では、上部に比べて下部では小麦で84%も収量が高かった。
同様な傾向は小川村の現地試験でも認められた。収量差は小麦>大麦>とうもろこし>大豆の順であった。この収量差の相違には、有効土層がもっとも強く影響していた。土壌流亡と作物の収量から、耕作限界角度は20度ぐらいといえる。