この地帯の細粒質山地褐色森林土の養分供給力について、七二会で大麦や大豆を用いて試験した成績(図3-21)と理化学的性質を表3-18に示した。
この試験によってみると、作物の収量にもっとも強く影響する成分は窒素で、リン酸や加里は無施用であるのにもかかわらず、ほとんど収量にひびいていない。
同様な試験を、かつて日本全国の農業試験場が小麦を対象におこなった成績がある。この値を比較のために図3-21にあわせて記載した。これから明らかなように、一般に窒素のみならずリン酸や加里を欠くと、収量はいちじるしく低下するものである。しかし当地帯の土壌では、ほとんど減収していない。この原因は、表3-18の分析値が示すように、土壌の化学的性質がきわめて良好であることにあると思われる。