松代地震が原因と考えられる水稲のもう一つの障害が、藤沢川に沿った牧内地区で発生した。
それは、水稲根に最初黒色のまだらが出、しだいに広がって白化症状に進み、腐卵臭がするようになるというものであった。それと同時に生育がおくれ、葉色は黄色に変わり、根腐れが進行すると立ち枯れが一面に広がってきた。
このような症状が出た水田を含め、29筆の水田作土を過酸化水素で処理して、活性酸化性硫黄(いおう)を調査したところ、土壌100g中に50~515mgと異常に多く含まれており、急速に酸性化が進行することがわかった。この障害を改善する対策試験をおこなった結果、硫化水素が発生して根腐れが出るこの種の水田には、含鉄資材の施用が効果的であった。とくに、褐鉄鉱を10a当たり800kg施用した処理区では、収量が28%も増収した。