湧(ゆう)水や地下水もまた接触している土壌や岩石から溶け出してくる成分によって多様な水質を示している。すなわち、帯水層の土壌や岩石の種類・風化の程度・接触時間などによって水質が変わってくる。
一般に表層付近の地下水は、降水や河川の水が容易に供給されるので、二酸化炭素が比較的多く、それに有機物の分解によって生じた二酸化炭素も加わって炭酸水素イオンHCO3-が多くなる。いっぽう、深層の地下水は停滞しがちで帯水層で土石との接触時間も長くなるので溶存成分が多くなる。また、溶存酸素の少ない還元的環境にあるため、成分のイオン交換がおこなわれ地下水中のカルシウムイオンCa2+が吸収され、ナトリウムイオンNa+が溶けだしてくるなど溶存成分の変化が起こってくる。