降水中の有機物と栄養塩

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込山(1982)は1978年(昭和53)から1年間、長野市における降水中の溶解性有機物と窒素・リンの測定をおこなった。これによると、有機物中の溶存性有機態炭素DOCが1.7mg/L、全窒素Nが0.87mg/L、全リンPが0.025mg/Lの平均値である。全窒素のうち44%がアンモニア態窒素NH4-Nである。全リンのうち63%が溶存性有機態リンOrg-Pである。

 NH4-N/NO3-Nの比は平均1.4で、小林(1976)の一般的な値2~5より小さく、この傾向は近年とくにいちじるしく、工場地帯では1以下ともいわれている。この原因は工場・自動車等から排出されるNO、NO2等の窒素酸化物により、大気中のNO3濃度が上昇し、NH4の上昇率を上回るためとみられる。

 降水の有機物と栄養塩の経月変化は、有機態炭素は5月、8月は高いが9月以降から冬期は低い。有機態窒素は秋期には高くなり、アンモニア態窒素は8月、12月は高い。有機態リンは春から夏にかけて高いが、冬期間はリン酸態リンは増加する傾向がある。


図4-3 降水中の有機物と栄養塩の経月変化 (込山,1982による 一部削除)