電導度の最高値は信更(しんこう)町涌池(わくいけ)の弁天の泉の769μS/cmであり、これにつぐものは松代町東条(ひがしじょう)の松井の泉の668μS/cmである。電導度の値が高いということは溶存成分(水中のイオン量)が多いことを示している。図4-6に示した電導度分布でわかるように、松代東条・信更涌池周辺部・地附山周辺部・芋井鑪(たたら)地籍および若穂川田では大きい値を示している。
松代東条の皆神山麓の二つの泉は、松代群発地震当時塩分の濃度が高い異常湧水(ゆうすい)が発生した地域であり、信更涌池周辺部・地附山周辺部は第三紀層の地すべり地帯である。また、芋井鑪地籍は過去に鉱泉が湧出した地域でもある。これらの地域の湧水は地質の影響を受けているものと考えられる。
電導度300μS/cm未満の湧水・地下水は全体の78.9%を占めており、信更三水(さみず)の太郎池の湧水の45μS/cm、高野の観音様の水の64μS/cm、灰原地籍の72μS/cmや若穂地域では山新田妙徳山の穴水の54μS/cmなどの値が低い。(成分などの測定値は資料編へ記載)