これまで湧水・地下水の各成分を中心に、その分布状況をみてきたが、ここでは水質区分図(キーダイヤグラム)を用いて、当地域の湧水・地下水の特徴を四つのタイプに分けて考察を試みた。
水質区分図における菱形(ひしがた)座標図は、陽イオンと陰イオン別に作成した三角座標から求めたもので、それぞれの当量比から水質の特徴をとらえようとしたものである。
水質区分図のⅠはアルカリ土類重炭酸塩型であり、Ⅱはアルカリ重炭酸塩型、Ⅲはアルカリ土類非重炭酸塩型、Ⅳはアルカリ非重炭酸塩型に属する水質の領域である。
Ⅰのアルカリ土類重炭酸塩型は、当量比でみた場合Ca2++Mg2+、HCO3-の割合が多い水質で、日本の河川の大部分はこの領域に属する。Ⅱのアルカリ重炭酸塩型はNa++K+、HCO3-の割合が多い水質である。Ⅲのアルカリ土類非重炭酸塩型は、Ca2++Mg2+、SO42-+Cl-の割合が多い水質であり、鉱山および火山性の水質に区分される。Ⅳのアルカリ非重炭酸塩型に属する水質は、Na++K+、SO42-+Cl-の割合が多い水質で、温泉・鉱泉などの水質に区分される。海水に似た性質の水でもある。