各成分の相関からみた湧水の特徴

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電導度と各成分の関係をみると、どの地域でも電導度の増加にともなって各成分が増加する傾向にあり、正の相関が認められる。このことはすでに述べたように、電導度が水中の溶存イオン量に比例して変化することから考えて当然のことであるが、松代地域の松井の泉と古藻井(こもい)の泉はその線上になく、電導度の値に対して極端にNa+を多く含んでいる。また、SO42-とNa+との関係をみても同様な傾向があり、Na+の割合が極端に高い特徴ある泉である。

 若穂地域の湧水では、綿内とくに春山~菱田(ひしだ)~温湯(ぬるゆ)にかけて湧出している水は電導度に対するNa+の比率が大きく、とくに高速道綿内トンネル周辺から湧出している水は、Na+が多い特徴が認められる。また若穂地域のCa2+とCl-の関係も正の相関が認められる(相関図省略)。


図4-12 電導度とナトリウムイオンの相関


図4-13 硫酸イオンとナトリウムイオンの相関


図4-14 電導度と硫酸イオンの相関


図4-15 カルシウムイオンと硫酸イオンの相関

 信更(しんこう)・信里(のぶさと)地域での電導度とSO42-の関係も正の相関関係があり、虚空蔵(こくぞう)山(岩倉山)南斜面の桜井~涌池(わくいけ)~安庭(やすにわ)南部にかけての湧水は、電導度とSO42-が大きい値を示しており、別の線上にあることがわかる。同地域のCa2+とSO42-の関係をみても、同じ傾向が認められる。涌池地籍を中心とする当地域の湧水もまた特殊な湧水といえる。