犀(さい)川の流程変化をみると、信州新町橋①から丹波島(たんばじま)橋⑥のあいだは各イオンの含有量がほとんど変化せず、電導度も107~117μS/cmの範囲で大きな変化はみられない。しかし、千曲(ちくま)川合流点下⑦では各イオンともに1.3~1.7倍に増加している。これは千曲川の水質が影響したためである。当地域での犀川のイオンの平均当量百分率をみると、陽イオンはCa2+>Na++K+>Mg2+、陰イオンではHCO3->Cl->SO42-の関係があり、陽イオンではCa2+が57%、陰イオンではHCO3-が51%を占めており、千曲川の水質ときわめてよく似た河川である。
小市(こいち)橋での水質の季節的変化ではBODの最低値は6月の0.5mg/L、最高値は2月の2.2mg/Lである。また、大腸菌群数の最低値は11月の1.1×103MPN/100mL、最高値は7月の15×103MPN/100mLと約14倍に達している。しかし、千曲川のそれよりかなり低い値である。pHは7.0~7.4の範囲の中性河川である。pHの日変化は千曲川と同様に、日中上昇し夜間は下降している。これも付着藻類の光合成の結果と考えられる。
小市橋で調査した1985年(昭和60)~1993年までの経年変化(図4-27)をみると、千曲川の水質に比較して汚染度は低く、アンモニア性窒素や大腸菌群数は減少してきている。しかし、1989年以降BOD・COD・全窒素の値が上昇傾向にあり、有機物の量が多く汚れが増してきていることがわかる。また、1993年の全リンが0.25mg/Lと極端に増加してきていることも気になるところである。