長野市には池沼や溜池(ためいけ)が多く、とくに市街地の北部の飯縄(いいづな)山(1917.4m)の山麓(さんろく)と南西部の信更(しんこう)町・信里(のぶさと)地区に集中している。
飯縄山麓一帯は飯綱高原で、標高900m以上の地域に大部分の池沼が点在している。東部には大池と猫又池、蓑ヶ谷(みのがや)池、上蓑ヶ谷池、下蓑ヶ谷池があり、中央部には大座法師池と丸池、西部には柳沢池、上一ノ倉池、下一ノ倉池、五味池がある。また南へくだった芋井地区には軍足(ぐんだり)池と浦谷地池がある。これらの池は灌漑(かんがい)用水池として築造されたものであるが、下流部の農地の減反や住宅造成などにより現在では水利用の機会は少なくなっている。一部は観光用や鯉の養殖用に利用されている。
いっぽう、市街地南西部の標高600m以上の信更町や信里地区には農業用溜池がたくさん散在している。有旅(うたび)大池と小山田池、鹿ノ入(かのいり)池、猪平(いのだいら)溜池、涌(わく)池、嫁池、瀬原大池、馬頭(ばとう)池など数十個の溜池が存在する。これらの地域では、湧水が少なく融雪水や雨水によって涵養(かんよう)されている。また、これらの溜池が第三紀にできた泥岩質層中に存在することで、土壌の保水力の果たす役割が大きい。
なお平坦(へいたん)部には、若槻地区の田子(たこ)池と湯ノ入池があり、千曲川右岸の松代町には金井池、大日池などがある。これらの池は、いずれも灌漑用水池であった。
また、裾花川には裾花ダム湖、犀川には小田切ダム湖がある。