大座法師池

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大座法師池は標高1,030mの飯縄火山灰土層上の凹地(くぼち)にあり、池の北端近くの西岸にある幅50~60cmの掘割りが主な流入水である。

 この池の水源は道橋川の上流の湿地帯であろう。底質は褐色を帯びた黒色の泥で、植物の破片を主体とする残骸(ざんがい)が堆積(たいせき)している。

 水の色は暗褐色で濁っている。透明度は1989年(昭和62)8月は1.79mで、1963年8月の3.2mよりかなり落ちている。

 つぎに水温の季節変化をみると、急激に水温変化する躍層は6月が2m、7月が1.5m、8月が3.5m付近にでき、上下の水は安定し、水温成層が発達している。しかし、10~11月は温度差がきわめて小さく、成層がこわれ、上下の水の交換がおこなわれて秋季循環期になっている。


図4-47 大座法師池の水温の垂直分布の季節変化(1989.7~1990.6)(沖野ほか,1990による)

 溶存酸素は深度を増すごとに減少し、とくに8月には無酸素層が発達している。全炭酸は8月の底層で、47.0mg/Lの最高値を示している。これは、停滞している深層水において、生物の呼吸作用や分解作用による酸素の消耗と、二酸化炭素の増大によるものと考えられる。

 pHはアルカリ性を示す。深さが増すごとにアルカリ性から微弱アルカリ性に変化している。溶存酸素とpHは相関している。

 本池は、飯綱高原のほかの池沼に比べて化学成分の濃度が高く、Ca2+は秋から春にかけて35.0mg/L前後の値で高い。全窒素や全リンの濃度は、9月がピークになり、それぞれ540μg/L、30.9μg/Lの値で、富栄養湖化している。