大池

197 ~ 198

大池は標高908mの飯縄火山灰土層上に位置している。南の堰堤部以外は丘陵状で、北西部は飯縄山の南東斜面、東西両側は920m丘陵である。北岸は北北西にのびる約500mの湿地帯になっている。池盆(ちぼん)は小さいV字谷を南岸で堰堤(えんてい)を築いてつくられた形態である。

 底質は褐色粘土質の火山灰土で、深度2m以浅の区域では有機質泥の堆積が少なく、暗緑色でやや硬い。しかし、深度3~4mの区域の所は、軟らかい泥を堆積している。

 水の色は暗緑色である。透明度は1990年(平成2)6月は4.65mで、1989年8月は1.2m、1964年8月は1.0mであり、年々回復している。

 深さ3mまでは20℃の水温で、循環している。それより以深の深層水は成層している。

 溶存酸素も深さ3mまでは7.3mg/L前後の値で変動は少なく、酸素量は一定している。しかし3mから深さを増すごとに酸素量は減少し、大座法師池と同様に全炭酸は増大している。

 表面水のpHは微弱酸性であるが、深さ1m以深の深層水はアルカリ性に傾いている。

 電導度は全炭酸とほぼ似た傾向を示し、深さ3.0m以深の深層水は深度とともに高くなり、電荷をもった化学成分は増加の傾向である。また全窒素や全リン濃度も少し高い。中栄養湖から富栄養湖への移行期であろう。


図4-48 大池における水温・溶存酸素・化学成分の垂直分布(1990.6.17)(沖野ほか,1990による)


写真4-29 大池