猫又池は、標高890mの飯縄火山灰土層上に位置している。1941年(昭和16)から6年間にV字状の谷を南で堰堤を築いてつくられた池である。池底の堆積層は薄い。底質は粘土質の火山灰土で4mより深いところは黒褐色の有機質の泥が堆積している。
水の色は黄緑色を呈している。透明度は、1990年(平成2)6月は2.30mであった。
水温の垂直分布によると、6月は成層が発達している。晩秋では、水温の変動差はきわめて小さく、秋季循環期になっている。
溶存酸素は、表面で8.09mg/Lであるが、深さが増すごとに減少し、4mより下層は急減して、池底では無酸素の状態である。またpHは弱アルカリ性から微弱酸性に傾いている。
全炭酸は、大池と同様で、深度とともに増加し、8mで24.15mg/Lに達する。電導度は5.5m付近までは順次小さくなるが、それより以深ではしだいに高く、120μS/cmになる。
全窒素は大池の約2倍の402μg/Lで、そのうちアンモニア態窒素は5倍で115μg/Lもあった。また全リンは32.5μg/Lで、飯綱高原の池沼群では最高の値を示す。猫又池の高濃度の窒素とリンは、養鯉池としても使用していることからすると、鯉の飼料に由来しているとみられる。窒素やリンが増えると、太陽光線を受けて池のなかの微生物や小動物が増殖し、さらに死滅の過程で水中に窒素やリンが放出されるといわれている。