Ca(HCO32型の水質が多い池沼や溜池

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長野市の池沼や溜池の水質的特色を総合的にみるために水質区分(キーダイヤグラム)すると、およそ三つのグループに分かれる。

 第1グループには、飯綱高原や信更町および芋井地区の池沼や溜池が属する。また若槻地区の田子池や千曲川東岸の金井池なども属している。とくに、飯綱高原の池沼群はHCO3-やCa2+の組成比率が高い。この第1グループの池沼水は淡水のもっとも一般的な性質であるCa(HCO32型の水質である。

 第2グループは、KHCO3型とNaHCO3型の水質である。長野市内の池沼や溜池はこのグループに属するものはない。

 第3グループには、千曲川右岸の松代町の大日池などの池沼と信更町の涌池が属し、鉱山や火山性の水といわれるCaSO4型または、CaCl2型の水質である。筆者の1977年(昭和52)の調査によると、松代群発地震で発生した割れ目から湧出している地下水の水質はCaCl2型であった。千曲川右岸の松代町の大日池などの池沼はCaCl2型で、涌池はCaSO4型の水質である。

 第4グループには、若槻地区の湯ノ入池がただ1ヵ所のみ属し、Na2SO4型であるがNaHCO3型に近い水である。被圧地下水や埋もれ木、亜炭などを多くはさむ地層が発達する更新世・鮮新世の地層から湧いて出てくる水にNaHCO3型が多い。


図4-56 長野市の池沼や溜池の水質区分