長野市の池沼や溜池の水に溶存する化学成分の濃度を図4-57に示す。
電導度は、松代町の大日池や信更町の涌池が高く、ついで若槻地区の湯ノ入池、松代町の金井池が高い。これらの池の水に溶存する電荷をもったNa+、Ca2+、Mg2+、SO42-、Cl-、HCO3-などの化学成分の濃度が一般に高い。電導度の低いのは飯綱高原や小田切地区、芋井地区の池沼や溜池であり、信更町の溜池も比較的低く、化学成分の濃度がいずれも低い。
Na+は湯ノ入池や大日池、金井池が高く、Ca2+は大日池や金井池、湯ノ入池、涌池が高い。Mg2+は涌池と大日池が高い。
SO42-は、涌池が高い。Cl-は、大日池、湯ノ入池や金井池が高い。HCO3-は、湯ノ入池や金井池、大池、大座法師池、田子池が高い。
裾花ダム湖の水質組成は、ほかの池沼や溜池の水とは異なり、金井池の水質組成と類似している。信更町の涌池と若槻地区の湯ノ入池は、地質的因子の影響を受けている。いっぽう、大座法師池や田子池、金井池は人為的な影響をかなり受けていると思われる。