保玉(ほたま)鉱泉

211 ~ 214

犀川の両郡橋から1.5kmほど上流にある。垂直に近い岸壁のすそに横穴が2つ、対岸の国道19号からも見える。このあたりには各所に鉱泉の湧出が見られるが、そのうちの有力な水口を追って掘りこんだのがこの穴である。回転式掘削機で掘り(いわゆるボーリング)もしたが、期待したほどの昇温も増量も得られなかった。今、ここから新橋老人憩いの家に運んで利用されている。主な成分は重曹で、表4-2のなかではアルカリ性がもっとも強い。

 保玉から小市(こいち)までのあいだには、ところどころに鉱泉が湧出し、表濁沢(おもてにごりざわ)には可燃性のガスを伴う鉱泉の湧出がみられる。近傍からガスを引いて始めたガラス工場があったが、このあたりではガスの湧出が年々減り、今は廃油で補って営業をつづけている。鉱泉は13.8℃(気温7.8℃)pH6.8、成分総計1,000mg/kg程度であった。


写真4-43 ところどころに鉱泉湧出口がある犀川左岸(小田切ダム上)

 さらにくだった花上トンネルでは、工事中に出た鉱泉が、完了後の今もしみ出している。泉温は19.2℃と11.5℃、pHは6.8と7.9で少し違うが、塩化物イオンや成分総量などはよく似ている。

 さらに下流の両郡橋と小市の中間には硫化水素の臭いのする水があり、近くで温泉掘りがおこなわれたことがある。