茂菅老人憩いの家

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茂菅で裾花川に合流する不動沢をさかのぼると、沢の分岐点にアルカリ性の強い鉱泉が出ていた。1950年(昭和25)には水温12℃、pH9.1、塩化物イオン50mg/kg、炭酸水素イオン782mg/kg、硫酸イオン10mg/kg、遊離二酸化炭素0.5mg/kg、メタン1cc/Lであった。

 右の沢を登り、滝の上の地蔵平に出ると、川岸のあちこちに鉱泉が湧きだしている。これが憩いの家の源泉である。表の数字は1977年(昭和52)と比べると泉温は2.4℃高く各成分とも多くなり成分総計は4倍近い。1977年当時は水の混入があったものと思われる。pHは1977年が9.8でこの辺の鉱泉中最高であった。弱アルカリ性で重曹と芒硝(ぼうしょう)を含んだ硫化水素型の硫黄泉に属し、湯の効能にちなんで「杖忘れの湯」といわれている。

 この温泉と、山の背に対して対称の位置にあたる裾花橋と善光寺温泉の中間あたりには、前記のpH9.8をはじめアルカリ性の強い鉱泉が多い。その一つに、水温15℃、pH9.1、塩化物イオン5.6mg/kg、成分総計518mg/kgの湧水があったが、今は見られない。