加賀井温泉一陽館1号

217 ~ 218

一陽館は唯一古くからある旅館で宿泊棟と温泉棟がある。温泉棟は一階が浴場、二階が畳敷きの大広間になっていて、ここで持参の弁当と名物の豆腐汁によって終日湯治をする形態が今もつづいている。

 1号泉は、掘り直してはいるがこのあたりでは最も古い掘削井で、二酸化炭素(炭酸ガス)の圧力も加わって勢いよく吹き上げる。

 この湯の入る浴槽は木造であるが、温泉から分離された炭酸カルシウムでおおわれてセメントの風呂のように見える。含塩化土類食塩泉に相当する。


写真4-49 加賀井温泉一陽館1号

 1号泉と3号泉のあいだに2号泉があったが、松代群発地震の折、まわりじゅうから温泉が吹き出してすり鉢状に陥没を拡大したため、隣接する温泉棟を守るため埋め立てに専念して温泉は放棄した。