温湯温泉

219 ~ 219

綿内の駅から東へ1.7kmほど離れた山すその集落温湯(ぬるゆ)には、昔から各所に温かい水が湧いていた。今でも、6ヵ所余りを数えることができ、その一つを使っていた別棟の浴場つきの旅館もそれとわかる。

 温泉は、南北に走る道路の東側の山沿いに多いが、西の蓮(はす)田の隅などにも見ることができる。温泉列の南限近くの高台に掘ったのがこの温泉で、出た湯はその場で、展望風呂もある若穂温泉市民センターが使っている。

 温泉の経年変化の有無大小を知るため1973年(昭和48)の状況と比べてみると、1973年には泉温37.1℃、pH8.9、カルシウムイオン26.49mg/kg、炭酸水素イオン49.48mg/kgで、これだけが1990年より多く、それ以外の成分はすべて1990年の方が多い。他の温泉と比べて成分の変化は大きいが、増減が相殺(そうさい)されて成分総量の変化はそれほど大きくはなく、いずれにしても絶対量は長野市の温泉のなかでは最小である。pHは8.9,8.7とそれほど変わらずアルカリ性で、長野盆地の東側の温泉のなかで泉質の前にアルカリ性の付くのはここだけである。