つぎに化学成分の面から、各温泉の性格と類縁関係をみることにする。図4-60は主要成分の割合からみた温泉の位置図である。ただし、ここに用いた数量は成分の重量(ミリグラム数)そのままではなく、機能を考慮に入れて処理した数量(ミリ当量)である。
右下の三角形は、陰イオン用で各頂点がそれぞれSO42-(上)、HCO3-+CO32-(左)、Cl-(右)の100%の位置である。図上の各点は、底辺(0%)から頂点(100%)に向かう高さが、頂点物質の%数をあらわしている。
左側の三角形は、陽イオンについての同様の図である。上の菱形(ひしがた)の図は陰陽両イオンを一つにまとめたもので、相対する辺の物質の合計が100%になるようにしてある。同様にして陽イオンの線がきまり、両者の交点が温泉の図上の位置になる。
三つの図とも、松代地域の温泉は狭い範囲によくまとまり、保科の二つはやや離れてではあるがかたまっている。盆地西部の温泉は、6を含めて陰イオンでは松代保科とは違って広い範囲に不規則に散在しているが、陽イオンでは密集している。9,10,20は、陰イオンの図では群から離れた位置にあるが、10と20は陽イオン図と菱形図ではそれぞれの群に入り、9はまったく別の位置にある。