4 裾花(すそばな)ダム湖

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 流水を止めるとプランクトンが発生する。裾花川をせき止めてつくられた裾花ダム湖も、その例外ではない。ダム湖では、発生したプランクトンによる赤潮とカビ臭の問題がある。

 ダム湖が富栄養化してくると藍藻(らんそう)類に放線菌が寄生し、この菌がカビのような臭物質を出すことがあり、これをカビ臭と呼んでいる。

 県内では菅平ダム湖と裾花ダム湖で、これが発生した。裾花ダム湖では、1978年(昭和53)7~8月にかけて起きた。このときの藍藻類はホルミディウムで、カビ臭成分であるジオスミンと2メチルイソボルネオールの2種の物質が検出されている。カビ臭は墨汁のような臭いで、水処理をしてもなかなか取れないので、防除対策が大変である。水を煮沸してもなくならない。しかし毒性はない。

 このダム湖に発生する植物プランクトンはクロロフィルa量でみると、最小値は山地池沼並みであるが、最大値は平地池沼に相当するほど多い。植物プランクトンではヒメマルケイソウ、イトクズモ、コナミドリモ、クリプトモナスなどが発生した。

 動物プランクトンではケンミジンコ、フクロワムシ、ツボワムシなどが見られた。