地球をすっぽりと包んでいる空気全体を大気といい、風が吹いたり雨が降ったり、雲が発生や消滅を繰りかえすなど、大気中で起きる現象を気象という。地球上の多様な気象を動かしているエネルギー源は、そのほとんどが太陽放射エネルギーである。
世界の気候を決めるもっとも重要な因子は、緯度による太陽の光のあたり方の違いである。赤道地方では真上から、極地方では斜めにあたることなどから、地球上に気温の差が生じ、全地球的規模での大気の大循環が生じる。
この大循環の過程で、地球上に特徴的な風系があらわれる。人類の生活と深くかかわりをもつ風系として、貿易風や季節風などが古くから知られている。東アジアにある日本では夏と冬で季節風系が逆になっていて、このことが日本の気候を大きく特徴づけている。
気候学者W.P.ケッペンは、地球上の植生が気候の影響を強く受けていることに着目して、植物分布に適合するような気温、降水量の限界値を決めて、全世界の気候を熱帯から寒帯までの温度帯に初めて分類した。これはその後、R・ガイガーほかによって修正されて現在にいたっており、気候帯はA、B、C、D、Eの五つに区分され、乾燥気候B以外は湿潤気候で、気温によって分けられている。五つの気候帯は気温や降水量の年変化などによって細区分されている。
ケッペンの気候区分のうち、日本列島に適用される部分だけをとりだして表5-1とした。日本は北海道、東北北部、東北南部から中部地方にかけての内陸高地、西日本の山岳部が亜寒帯(冷帯)多雨気候区に入っており、そのほかの地域は温帯多雨気候区となっている。
長野県は南信の一部を除いて亜寒帯(冷帯)多雨夏高温気候区に属しており、長野市も同じであって、記号区分では(Dfa)に該当している。
また、冬の北西季節風のもとでは、山脈を気候境界として風上側と風下側との天候の違いが大きいため、日本の気候形式には日本海岸気候と太平洋岸気候の二大区分がある。
冬、越後平野で曇天、降雪、多湿の天気がつづくとき、山脈を越した関東平野では晴天と乾燥の天気がつづく。