(1) 東岸気候と季節風

239 ~ 240

 長野市など日本列島上の地点やワシントンなど大陸の東岸に位置する地点の気候(東岸気候)は、サンフランシスコやロンドンなど大陸の西岸に位置する地点の気候(西岸気候)と比べると、冬は気温がいちじるしく低く(寒く)、夏は高い(暑い)。したがって、月平均気温での年較差(最暖月と最寒月の差)をみると、東岸気候における気温の年較差は西岸気候のそれよりかなり大きい。


表5-2 気候区分による平均気温の比較

 日本列島では、冬は大陸育ちのシベリア高気圧からの北西季節風が日本の冬をいちじるしく寒冷にし、夏は海洋性熱帯気団の小笠原高気圧におおわれ、海洋から大陸に吹きこむ高温多湿の南東季節風が日本の夏をたいへん蒸し暑くする。これは東岸気候の特徴である。

 図5-1は、長野・東京・マニラ・ロンドン各都市のクライモグラフである。北緯36度にある東京の冬の気温は、北緯51度にあるロンドンの冬の気温とほぼ同じであるが、東京の冬はロンドンよりはるかに乾燥している。ヨーロッパと比較したとき、この冬の乾燥と晴天は日本の太平洋側の冬の気候の特徴であって、このとき日本海側では多湿で曇りの日がつづき、降雪量も多く、世界的な多雪地帯となっている。


図5-1 4都市のクライモグラフ

 いっぽう、日本の夏は東京のグラフからもわかるようにマニラの気候に近く、気温・湿度ともに高く、たいへん蒸し暑い。

 日本列島は南北に長く、地域によって気候の違いも大きいので、日本の気候の特徴をまとめて表現することはむずかしいが、「日本の冬は北欧なみに寒く、夏は熱帯なみに蒸し暑い」といえる。日本は寒くてそして暑い国である。