降水量が少なくて湿度が低いことも内陸性気候の特徴である。
長野市の年平均降水量は938.3mm(長野地方気象台1961-90)で1,000mm未満である。日本で年降水量が1,000mm未満のところは、北海道東北部と長野県内の長野盆地から上田・佐久盆地にかけての平坦(へいたん)部であって、この二つの区域は日本列島で降水量のもっとも少ない地域である。長野市域の降水量は、平坦部では1,000mm未満であるが、周囲の山地では年平均1,200~1,500mmの降水量があり、地域差は大きい。
内陸部は一般に湿度も低い。図5-5は沿岸部と内陸部の3都市における月平均湿度の年変化をあらわしたグラフである。金沢と静岡は共に沿岸部の都市であるが、冬の日本海側の多湿に対して太平洋側ではいちじるしい乾燥状態になっているが、いずれも北西季節風によるものである。長野市の冬の湿度が高いのは、日本海に近いことよりもむしろ海抜が高く、内陸特有の冷えこみで気温が低いためであって、水蒸気の絶対量でみると日本海沿岸の地方よりはるかに少なくなっている。夏の湿度は両沿岸部ともきわめて高いが、それと比べて長野市はかなり低く、内陸の特性が雨期の湿度の差にもよくあらわれている。