山間地に多く、平坦(へいたん)地に少ない降水

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長野市域の気象観測所としては長野地方気象台がある。また、近年は防災上の必要から長野市防災情報収集システムが整備されてきて、雨量を常時観測してそのデータを収集できる雨量観測局が設置されている。1995年(平成7)現在で、長野市雨量観測局が14、長野県のテレメーター局が4で、合計18局が稼働している。

 図5-26は、それらの雨量観測局が1991年1月から1995年12月までの5年間観測した年降水量の平均値を求め、それをもとに作成した等降水量曲線である。統計期間が5年間と短いこと、山頂付近や山間地のデータ数が十分に得られないこともあって、山間地の雨量分布の細部は不明で、曲線はあくまで推定線である。しかし、長野市域における降水量の分布を大局的に把握することはできる。すなわち、柳原から朝陽、大豆島、青木島、稲里、川中島、篠ノ井にかけての平坦地は年間800mmより小でもっとも少ない地域をなし、900mmの線は盆地の西部山地では山麓(さんろく)線に沿うように通っているが、東部山地ではもっと標高の高い所を通っていると思われる。盆地周辺の山間地に多く、とくに飯縄(いいづな)山の山麓は多くなっている。


図5-26 長野市の年降水量分布 (長野市雨量観測局の観測値。1991~95年の5年間の平均値により作成)