長野市のメッシュ年降水量気候値

259 ~ 261

図5-27は、長野市のメッシュ年降水量気候図である。降水量のもっとも少ないメッシュは平坦地の東和田地区で650mm、もっとも多いメッシュは西部山間地の坪根地区の1,618mmで、坪根地区は東和田地区の2倍以上となり、両者の差は968mmになる。


図5-27 長野市のメッシュ年降水量気候図 (気候値:1953~76年の平均値)(出典:長野地方気象台)

 降水量の全体的な分布をみると、降水量の少ないメッシュは、長野市の北東の柳原方面から平坦部を南西方向に延びて篠ノ井方面にいたり、さらに千曲川に沿うようにして更埴市方面へつづいている。

 降水量の多いメッシュは山間地である。年降水量が1,400mmより大きいメッシュは、芋井の飯縄山の斜面や山麓から小田切、七二会(なにあい)の陣場平山周辺におよび、信更地区では高雄山周辺にみられる。東部山地の降水量は西部山地と比べて少なく、メッシュ気候値は1,200mmから1,300mm台である。

 このメッシュ気候図によって、任意のメッシュにおける降水量がわかったり、山沿い方面の多雨域や千曲川・犀川流域の1000mm以下の少雨域などをきめこまかに把握することができる。山間地は標高が高く起伏の多い複雑な地形のため、気象(気候)の地域差がいちじるしく、したがって気象災害も河川の氾濫(はんらん)、山崩れ、がけ崩れ、土石流など大雨によるもの、長雨や少雨によるもの、大雪や着雪・融雪によるもの、雹(ひょう)や凍霜によるものなど諸種にわたる。その意味からも、メッシュ気候値は地域に密着した気象情報の基礎資料である。


写真5-5 長野盆地を這(は)うように移動する降雨域