世界で有数の豪雪地帯である信越県境に近く位置する長野市も、積雪の期間は長い。とくに周縁部の山間地域では12月の中旬には根雪になり、4月の下旬ごろまで北側の軒下の日陰で残雪が見られる。
JRの記録では、最深積雪は飯山線森宮野原駅の7m85cm、気象庁公認は北安曇(あずみ)郡小谷(おたり)村の7m42cm(第2位)と、いずれも想像を超える記録が残されている。長野市での最深積雪の記録は、1946年(昭和21)12月11日に観測された80cmである。降雪がそのまま積雪になるわけではないが、降雪と積雪とは相関関係にあるので、降雪のようすを下に示した(表5-11)。
長野市は、盆地の平坦部とその周囲の山地とからなり標高差は大きい。また、気候的には犀(さい)川をはさんで、南部は太平洋側ないし内陸型、北部は日本海側の気候的影響を受けやすい。そのため、降雪の日数や積雪など市内各地で大きな差異が見られる。
1995年(平成7)12月24~25日の降雪では、浅川地区は22cmの降雪があった。しかし、松代地区では5cmの降雪であった。この二つの地域は南北方向にほぼ同一直線上で約14km離れている。標高差は少し大きく約350mである。しかし、降雪量は4倍以上の差が認められた。
小田切地区と安茂里(あもり)地区とは市内ではほぼ同じような地域に位置しており、標高差は約600mある。しかし、ここでの降雪量は1cmほどしか違わない。また、標高差ではほぼ同じ小田切地区と芋井地区とでは、位置的に北の方にある芋井地区が12cmも上回っている。さらに標高では浅川地区は芋井地区より335mも低い位置にあるのに、降雪量では北にある浅川地区の方が2cmも多くなっていた。
このことから、長野市の降雪は、市の北部では日本海側の気候の影響を受け、降雪量や降雪日数が多い。降雪のようすは市の南部に向かうと急激に薄れ、内陸型の特徴があらわれてくることがわかる。市民の多くもこの変化を実感しており、その境界を犀川あたりとしている。