初冬に降る大粒の雪を呼ぶ。雪の結晶の分類には「牡丹雪」というのはなく、命名はこの雪の形状に由来している。この雪は、雪の結晶が数十から数百集まって一つの雪片として降ってきたものである。幾重にも雪の結晶が折り重なってあたかも「牡丹の花」のように見える。牡丹雪は初冬の11月後半から12月前半に見られやすい。牡丹雪は地面に降り着くとすぐに消えることが多く、そのまま降り積もるということはあまりない。これは、地温がまだ暖かいこともあるが、牡丹雪そのものが解けて消えてしまう要素をもっている。
牡丹雪を作っているいくつもの結晶は、一つ一つ雲のなかで成長したものである。しかし、気温がまだ十分低くない空気中を1秒間に約30cmの速さで落下していく途中で、これらの結晶に大気中の微水滴が付着する。この微水滴どうしが接着剤の役目をすることで多くの結晶が付着しあい、牡丹雪として成長する。記録では、差し渡し10cmもの牡丹雪が降ったと報告されている。
牡丹雪や綿雪など初雪として見られる雪には、成因のうえからもたくさんの水が付着しているので、地面に降り着くと同時に地温の暖かさとの相乗効果で解けてしまうことが多い。