(2) 長野市によく見られる雪片

265 ~ 266

 長野市の月平均気温は、12月が1.7℃、1月が-1.2℃ある。この温度では結晶は解けやすく、じっくり心ゆくまで観察することはむずかしいが、コートなどに降り着いたものをその場で観察するのは容易にできる。

 雪の結晶がどんな形に成長するかは、結晶が成長するときの空気中の水蒸気の供給量と雲のなかの温度、気圧などの環境条件と最初にどのように成長しはじめたのかという三つの因子によって決定されると考えられている。

 図5-35は縦軸に水蒸気の量、横軸に気温をとっている。雪のデザインや家紋など、私たちが生活のなかで見慣れているものは-15℃くらいの雲のなかで成長したものが多く、分類では板状結晶の正規六花に位置づけられる結晶形である。


図5-35 雪の結晶形と気温水蒸気密度(すいじょうきみつど)との関係(小林禎作1961より作成)

 長野市では1月末から2月の中旬にかけてこれらのきれいな結晶を見ることができる。風がなくちらちら舞い降りるようなときは、きれいな結晶に出会えるチャンスである。また、電灯の光を反射して輝いているときは、これらの結晶が降り積もったときである。