積雪による被害としては雪崩(なだれ)は顕著な例である。しかし、長野市ではあまり雪崩被害の報告は聞かない。
1980年(昭和55)はまれにみる大雪で、12月から2月までの総降雪量は358cmにおよんだ。これは平年の同時期の145cmの約2.5倍で、小田切地区などの山間地だけでなく、浅川地区や市内各地で屋根の雪下ろしがおこなわれた。積雪の密度を0.3g/cm3とすると、1cmの積雪は1m2あたり3kgの重さになる。また、積雪が締まって全体的に沈降するときの力を沈降力というが、斜面では直径10cmの樹木に1tもの力がかかり木が根元から曲げられることもある。七二会(なにあい)地区の五十平(いかだいら)公民館のトイレが押しつぶされたり、ビニルハウスの倒壊など積雪による被害はこれらの力が加わったためである。また、杉や松などが雪の重さで折れたり根元が曲げられるなど、山林1030haも打撃を受けた。3月には気温が上昇し、融雪による道路崩壊や地すべりが各地で起き、大きな災害となった。