降雪中の視程

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視程とは、何m先にある物体が見えるか見えなくなるかという限界の距離のことをいう。

 降雪中に車を運転していて、視界がきかず、困難な思いをすることがある。ここでは、長野市における調査の結果を紹介する。

 空気中に雪の結晶やあられがたくさん入っていると、光を遮蔽(しゃへい)してしまうので物が見えにくくなり、当然視程は悪くなる。

 調査は、建物の屋上から市内のめぼしい建物や塔を目標に観測した。このとき目標になる建物などは、明るい空を背景にしたとき黒く見える建物を使うように指定されている。そこで壁などは白くても、ガラス窓は黒く見えることからすべて黒い建物だけでなく、ガラス窓も観測の対象に取りいれた。

 図5-37は、1973年(昭和48)1月11日の降雪のさい、長野市において降雪強度と視程を観測し、それが時間経過とともに変化したようすをグラフにしたものである。降雪強度とは、1分間に1cm2に降り積もる雪の重さをいうが、通常は、1時間あたりの降水量に換算しているので、単位はmm/時であらわしている。


写真5-13 雪降りの日


図5-37 1973年1月11日、長野市における降雪強度と視程の時間変化の例 実線は降雪強度、破線は視程を示す

 このグラフは、降雪強度と視程とは反比例の関係にあり、降雪が強くなると視程が悪くなるということを明確にあらわしている。

 夜間、降雪が激しいときには、自動車のヘッドライトが降雪に反射して一面が真っ白に光ってしまい、視程も極端に低下する。